正月の意味

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、正月についてなのだが、農業を始めて段々とその意味深さが分かるようになってきた。昔は、まとまった休みがとれ、皆一斉に帰省し、好きでもないおせち料理を食べなければいけない、むしろあまり気が乗らない時期としか思っていなかった。更に言うと、年々普段通り開いている店も増え、本当に何か意味がある休みなのかとさえ思うようになっていた。ところが、農業の視点から見ると全く違うのである。実に生活と密接に関連した、いやむしろ、生活から自然発生的に生まれた、必然的な時期なのだ。

その理由なのだが、まずもって、正月は農家にとって、一年でこの時期しか休むことができない、特別な時期であるということ。春夏秋は、作物の成長と共に仕事に追われ、一日たりとも結局休むことはできないのだが、一年で唯一、作物の成長がほぼ止まり、新しく作物の種を播くことができないこの時期だけ、まとまって休むことができる。休みなく毎日働くのは結構大変で、ゆっくり休める正月は本当に貴重なのだ。正月はしっかり休む農家が多いが、その訳がよく分かる。

また、単純に休める時期であるからというだけが理由ではない。ここで、昔からの伝統的な旧暦の考え方を照らし合わせるとさらに特別な理由が良く分かる。厳密には違うのかもしれないが、旧暦的な考え方をすると、お正月の三が日が終わると、節分を経て立春となる。そしてこの立春の頃というのは、陽の強さが増し、啓蟄の頃とは言わないまでも、何となく虫や草木が動き出し、生命の息吹を感じ始める、正に、新しい命と新しい年のサイクルの始まりを感じさせる頃なのだ。自らの生活の中で、新しい命と新しい一年を迎える、その始まりとしての正月は、実に特別な意味をもった時期なのである。

旧暦と縁の薄くなった現代の生活では、なかなか正月とその休みの有難味を感じ難いかもしれない。時代と共に、文化とその結果である伝統も変わるのだからそれも仕方ないことだと思う。しかしながら、正月の深い意味とその有難さを理解し、感じることは素晴らしいことだと思う。その上で、現代風に、農家の伝統に反し、正月からしっかり働くのが良いと思う。今年は3日から販売開始します。