脱サラをして農業を始めるということ

自分の考えを並べる前に、人からどう言われるかを書こう。
「サラリーマンを辞めて農業を始めた」と人と話しをすると、大体、以下の3パターンのどれかの反応が返ってくる。

1つめは、眉をひそめた、困惑と同情が入り混じった表情。
そのような人からは、「大変だね」、「どうしちゃったの」というのが第一声となる。安定したサラリーマンを辞めて、ハイリスクな業界に転進することに、疑問を抱く人たちである。日々の仕事には色々あるだろうけど、安定を捨ててまで・・、というのが根本の考えのようである。このブログの前項でも書いたように、一般的に考えれば農業をすることは大変なことで、理性的でまともな判断であるとは思う。

2つめは、目が一瞬大きく見開いて、感心と羨望が浮かぶ笑顔。
そのような人からは、「すごい」、「いいなあ」と言われる。会社から無駄なストレスを受けずに済み、自らのしたいことをしたいようにできるというのが、その理由のようだ。会社で仕事をすることは、確かに、各方面から大きなストレスを受けることでもある。そのような会社を飛び出して、自らのしたいことに突き進むのは、輝かしく見えるのだろうか。

3つめは、やや見下した感じで投げかけてくる質問。実はこのタイプは農業関係者で見られる。
その質問の内容は、「会社での仕事は辛かったの?」である。不安定な農業業界に転身してくるのだから、よっぽど前の会社での仕事が嫌だったのだろうと思う人たちである。実はこれは、皮肉な見方なのではなく、実際に、会社が嫌で農業を始めた人が多いことの裏返しである。脱サラ就農者は、既存の農業関係者から警戒されているのである。

さて、では、自分が脱サラをして農業を始めるということをどう思うか。

前述3様の反応は、全てまともだと思う。ごく自然な反応である。農業をすることはとても魅力がある、しかしハイリスクかもしれない。一方、サラリーマンとして勤めることは、苦労も多いだろう、しかし安定している。しかしながら、本当にそうなのか?仕事上の魅力と安定はトレードオフなのか?

自分は全くそう思っていない。(前の)会社での仕事は総じて魅力的であった、良い職務内容であった。もちろん、文句もストレスも十二分にあった。しかしながら、むしろそれらを楽しんでこその会社勤めであった。一方、農業がハイリスクだとはあまり思っていない。ビジネスとしての成功可能性については本ブログ前項掲載の通りである。

安定して、色々ありながらも良い仕事をさせてもらっていた会社勤めを辞めてでも、農業を仕事してすることに価値がある、というのが結論になるであろうか。そして、農業を始めるということは、転職していることと同じであるから、自らにとって全ての面でアップするようにしなければならないと思っている。