絶対にスーパーで買わない野菜、同列1位。それがスナップエンドウ(あとは枝豆ととうもろこし)。一般に売られているものは、おそらくそのものの本当の価値の10分の1も満たしていない。それ位、全くの別物なのである。採りたての本当に美味しいものは、甘さ、瑞々しさ、シャキシャキ感が全く違う。今日は、その本当に美味しいスナップエンドウについて、その美味しさに必要なポイントを3つあげたいと思う。
1つ目は、まず何より新鮮であること。採った日とその次の日だと、味がまるで違う。一晩越しただけでも、甘みがガクンと減ってしまう。農業高校の野菜の教科書に、貯蔵温度20℃で2日で、収穫直後の食味が、商品性の下限~甘さがなくなり淡泊な味になる、とある。確かにその通りに思う。でも、一般に流通しているものであれば、どうしたってそのようにならざるを得ない。「スナップエンドウって美味しいものだったんだ」という感想を頂くこともあるのだが、それも無理ないことに思う。本当に新鮮で美味しいスナップエンドウを食べるのは、収穫当日のものを手に入れることができる環境にでも無い限り、実現不可能なことなのである。或いは、同じく教科書によると、収穫後すみやかに0℃に冷やすと、2日ほどは、収穫直後の状態が保てるとある。産地直送の野菜であっても、そこまでされているだろうか。まさに、農家にのみ許された味、といっても過言ではないのかもしれない。
2つ目は、収穫のタイミングが適切であること。どう適切であるのかと言うと、実がパンパンに膨らんで、丸々と太った状態のタイミングで収穫されていること。これが、ほんの少し手前の、もう少し薄い状態で採ってしまうと、まるで味が違く、甘みがあまり無かったりする。一般に売られているスナップエンドウで、このような状態で並んでいるものは、ほとんど目にしないのであるが、なぜだろうか。樹が疲れて、収量が落ちるからなのであろうか。とにかく、市販されているスナップエンドウは薄過ぎる。これでは、料理の彩りにしかならないではないか、とさえ思うのである。口に入れた瞬間、口の中いっぱいに弾けて溢れ出す、あの甘さと瑞々しさと実に歯切れの良い食感を楽しむ為には、この太り具合がとても重要なのである。
3つ目は、収穫時期の終わりの方であること。これは個人的に非常に不思議に思うところなのであるが、収穫のピークが過ぎ、樹が弱り黄色くなってきたくらいの方が味が上がる。他の作物では全くそんなことは無く、樹が弱って黄色くなったりしたら、もう無味乾燥なものしか出来ないのに、このスナップエンドウだけは、逆に味が上がるのである。スナップエンドウの終わりの時季は、シーズン初めに比べ気温が大分上がっているから、その影響なのだろうか。いずれにしても、スナップエンドウは、名残が実に良い。
スナップエンドウについて知るところを纏めてみた。もし、美食が大罪であるならば、採りたての、良いタイミングで収穫されたスナップエンドウは、間違いなく罪である。そして、自分はその罪を作り続けている重罪人でしかない。そうでなくても、お客様にこんなに美味しく、他で手に入れることができないものをご提供してしまう自分は、大変罪深いなあと思っているのに。それでもなお、お客様には、採れたてで最高の状態のスナップエンドウをぜひお試し頂ければ、と思います。