農家の飲む野菜ジュース

医者の不養生ならぬ、農家の野菜不足。故の農家の飲む野菜ジュース。
普通の農家なら有り得ないことだろうが、我が家では普通に良くあることである。

理由はいくつかあるが、まず第一に、疲れて料理などする気になれない時が多々あること。そういうときは野菜など使って飯を食う時間をかけてられないのだ。そんなとき、野菜ジュースは重宝する。それで栄養が十分取れているとは思わないが、まあなんとなくそれらしい気になれるのだ。逆に野菜ジュースを飲まないでそのまま寝たりすると、どうも翌日寝起きに身体が重い。昔、農家でも収穫のピークの時など、繁忙期には栄養ドリンクを飲んだりすると聞いて吃驚したが、野菜農家が野菜ジュースを飲むのもまたずいぶんおかしなことだ。

第二に、商品になる物には決して手をつけないこと。普通の農家なら、自分で食べる分は自分で作っているものであることが多い。その方が買うよりも安いからだ。また、当然プライドもある。スーパーで買うなんて馬鹿馬鹿しいと考えている。だから、農家の手元には通常野菜がたくさん余っているのであるが、自分の場合は全く違う。できる限り売れるものは売りたいし、野菜を食べるなら、出来る限りスーパーで買って、自分のものと比較をしたいと思っている。一般の消費者が普段どのようなものを食べているのか、同じ目線で理解しておくのは、食に携わる者として必要不可欠な行為だと思う。(それでも売り物にならない野菜を消費するだけで精一杯で、なかなかスーパーの野菜に手が出ないのではあるが。)

第三に、昔からの習慣であるのと単に野菜ジュースが好きであること。サラリーマン時代は、昼夜会社で弁当が普通であったので、野菜ジュースをいつも合わせていた。その習慣が未だに抜けない。また、習慣を通り越して、野菜ジュースそのものが好きになってしまった。まあ、今では好きで飲んでいるのだから、別に悪いことでも何でもないのではあるが、今となってはなんとなく不自然なことではある。

野菜ジュースを飲む行為を、今後も止めることはないだろう。時間を買うためにも必要不可欠である。普通の農家の感覚とはかなりずれているとは思うが、こういうサラリーマン的な感覚の農家がいても悪くないのではないか。野菜ジュース万歳。