農業を始めようと思ったわけ

記念すべき第一回の投稿は、「なぜ農業を始めようと思ったのか?」について記そうと思う。なぜなら、人と話しをすると、必ず聞かれることだからだ。

答えは、何よりも、ビジネスチャンスだと思うから、である。このように言うと、皆、不可解な顔をする。それも当然である。農業というのは、苦労ばかりで儲からないというのが、世間で一般に思われていることだろうからである。
この考えを裏付けるデータはいくらでもある。例えば、都府県の野菜農家の農業から得る利益(所得)は、年217万円。(農林水産省 平成21年 個別経営の営農類型別経営統計―野菜作)そして、これは農家1人の稼ぎではない。農家1世帯での稼ぎなのだ。この額を稼ぐための平均労働力は2.33人で、1人あたり93万円である。さらに言うと、総労働時間は3542時間、時給に換算すると最低賃金を下回る、685円/時。場合によっては、農家が365日休みなく朝から晩まで働いて、年収100万ということも有り得なくはないのだ。(誤解を避けるため、農家には農外収入もあり、暮らし向きが悪いわけではない。それについては、また別の機会に触れたいと思う。)

別の視点からも見てみよう。このようなフレームワークを使うまでもないのだが、有名なボストンコンサルティンググループの成長率・市場占有率マトリクスを使ってみれば、農業という世界がどういう市場なのか良く分かる。
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農産物市場は、現在の日本では明らかに縮小市場、マイナスの成長率である。そして、各農家にとって、マーケットシェアなど皆無に等しい。各農業経営体にとって、負け犬市場でしかない。普通なら、事業の撤退を考えるべきところ、新規参入などとても有り得ないのだ。

しかしそれでもビジネスチャンスだと思う。理由は、消費者の思いと遠くかけ離れたところで、農業の生産が行われているようにしか見えないからである。ここをあまり詳しく書くと経営戦略の要をさらすことになってしまうので避けるが、そのギャップを埋めていくことができれば、結果としてビジネスとしても成功するのではないかと思っている。

農業を始めようと思ったわけには他にも、起業したかったなどもあるが、「ビジネスチャンス」を実現したいと思っている。

「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」     -高杉晋作